施工管理というお仕事 実践編

前回の続き、『施工管理というお仕事』

人事ブログでも紹介されているように、大きく分類して以下の4本柱で成り立っています。

 

1.工程管理

予定通りに工事が進むように、現場の段取りをする。

他業種との関係をうまく築くことや、トラブル対応力も必要。

まず実際工事に着手する前に綿密な計画を立て、『施工計画書』を作成します。

完成すると結構なボリュームになります。今回の工事でおよそ100ページ。

 

内容をざっくりご紹介すると、

●工程表の作成。

 どの工種をいつからスタートしていつ終わりにするのかを決め、グラフに表します。

 工期内に終わらせることができるよう頭を悩ますところだと思います。

 

●配置人員の選定。どの部分を誰が担当するのか。

 実際工事に携わる人だけでなく、経理や労務を担当する事務方や資材の管理・情報システム管理など、多方面から一緒に工事を進める人員の決定を行います。

 

●使用する機械は何を使うか。また材料は何が必要か。

 

●各施工方法の決定。

 ひとつの工事の中に細かく工種が設定されているので、それぞれをどのような工法を採用して行うかを決めていきます。

 注意すべき点や、予測される障害とその対応策なども盛り込みます。

 施工計画書の中で最もページを割くところですね。

 

●施工管理の方法の決定。

 工事の進みに合わせて、出来形や品質管理・写真撮影などを、どのタイミングでどのような方法で行っていくかを決めます。

 

●安全に工事を進めるための対策。

 工事に従事する人たちに安全に作業してもらうために、また、地元のみなさまへの周知や注意喚起など、安全に対してどのような策をとるべきかを考えます。

 

●交通や周辺環境の保全対策・労働環境の充実や工夫。

 大型ダンプや工事関係車輛が公道を使用することになるので、地元環境等を考慮し、安全かつスムーズな運行ができるよう走行経路を決めたり、

 従来の自然をできるだけ壊すことのないような方法を考えたり、また、わたしたちも含めて現場で働く人が働きやすい環境を整えるべく工夫します。

 

 

出来上がると社内での確認を受け、

さらに今回の工事を例に挙げると、監督員である国土交通省 飯田河川出張所長の確認を受け、合格をいただいて工事がスタートします。

 

それと同時に、

・各協力会社との打ち合わせ&契約

・各メーカー及び代理店との打ち合わせ&契約

・現場事務所の場所決めと土地の契約及び設営

・事務作業に必要な機材の持ち込みやトイレ等周辺設備の手配、etc….

 

やること盛りだくさん。

増え続けるタスク。

To do リストの完了率、全然100%にならない。

 

が、わたしは工事全期を通してこの時期が一番好きです。

 

動き始めたばかりの現場名が貼られた真新しいピカピカのファイル、

日ごと増えていく名刺、空っぽのフォルダを埋めていく達成感、新しい技術習得への闘志、

今度の現場の近くにはどんな美味しいごはん屋さんがあるのかしら?というワクワク。

 

                                                                 ※各々のパーセンテージは以下の通り。(注:HP担当調べ)

仕事にやりがいや楽しみを見出すことは、モチベーションを上げ効率よく作業するために非常に重要なことです。

わたしたちが『○○町 名物』とか検索していても、上司は見て見ぬふりをしてほしいものです。

むしろ奨励してほしいものです。

 

 

 

 

 

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さて。

このように施工管理者である現場代理人及び監理技術者が、

全身全霊を傾け、心を砕き、苦心に苦心を重ねて出来上がった施工計画書に基づき、いよいよ工事がスタートするわけです。

工程どおり順調に進んでくれるといいのですが、

天候や様々な事情により予定通りに進まないことが出てくることもあります。

その都度それぞれの職長さんと打ち合わせをし、軌道修正を行うのですが、非常時はやはり豊富な経験と知識が必要。

 

 

そんな時は現場のスタッフはもちろんのこと、飯田河川出張所長や上司に相談のうえ、最良の方法を模索していきます。

 

わたしはこの仕事の醍醐味ってここにあるんじゃないかな、って思います。

本工事は規模の大きな工事なので、様々な職種のたくさんの人の関りがあって成り立っています。

いなくていい人なんていない。

たくさんのパーツがあって、みんながその一つ一つのパートを担当して日々現場が動いている。

そのすべてを取り仕切るのが施工管理の仕事なのです。

 

責任は重大。

広大な現場内を奔走し、

東にトラブルが起これば行って対処法を示し、

西に紛争の火種が起これば行って静かに愚痴を聞く。

円滑な工事運営のため各所で頭を下げなければならない時もある。

自然相手の仕事ゆえ、悪天候の夜は枕を高くして眠ることができないことだってある。

見解の違いから職人さんたちと言い合いになることもあるでしょう。

 

しかし、竣工を迎え、無事に検査が終了したのちに眺める景色は、それらすべての苦労を忘れさせてくれるものです。

施工管理者の方々がよく言われるフレーズですけれど、本当なのです。

言い過ぎではないのです。

 

わたしもこの業界に足を踏み入れる前は、

工事現場を通りかかっても『なんかやってるな』以外、なんの感想も持たない一介の主婦でした。

それが今や、石の一つ一つ、コンクリート構造物の一つ一つが我が子のように愛おしくてたまらないのです。

『立派にこの川を守っておくれ』と、一つ一つを抱きしめたい気持ちになるのです。

不思議なものです、ホントに。

 

 

 

しまった…。

序盤中の序盤の『1.工程管理』だけでけっこうな文字数を費やしてしまった。

しかしこうやって改めて振り返ってみると、施工管理の仕事って本当に多岐に渡ってる。

明日から代人さんたちに、もっと優しくしてやろう。

「そんなの自分でやってください」とかできるだけ言わないようにしよう。

長くなってしまったので、続きはまた後日にします!

 

 

 

●本日は、中部地方整備局長が現場視察にお見えになりました。その様子は次回ご紹介したいと思います。●

 

 

 

夕焼け染まる現場。2020年12月。

 

 

十字ブロック現場打ち製作中。2021年4月12日。